出産という大仕事を終えた女性の体は、想像以上に大きな変化を経験します。
妊娠中のホルモンバランスや骨盤の広がり、筋力低下、授乳や育児での姿勢不良…。
「早く元の体型に戻したい」「腰痛や肩こりを改善したい」と願う一方で、産後の体はとてもデリケートで、無理をするとかえって不調を長引かせてしまうことも少なくありません。
今回は、産後の体で弱くなりやすい部分と、鍛えるべき部位、そして安全かつ効果的に取り入れられるエクササイズをご紹介します。
産後の体はどう変化するのか?
骨盤と骨盤底筋
妊娠・出産を通して大きなダメージを受けるのが「骨盤」と「骨盤底筋群」です。
骨盤底筋は膀胱や子宮、直腸などを支えるインナーマッスルですが、出産時に大きく伸びて緩みやすくなります。これが「尿漏れ」や「下腹部のぽっこり感」の原因につながります。
体幹(インナーユニット)
妊娠後期にお腹が大きくなると、腹直筋が左右に広がり「腹直筋離開」が起こることがあります。体幹を支えるインナーユニット(横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋)の連動が崩れ、姿勢の崩れや腰痛を引き起こしやすくなります。
姿勢の乱れ
授乳や抱っこで猫背になりやすく、肩こり・背中の張り・巻き肩が慢性化しやすいです。また、夜間授乳による睡眠不足や同じ姿勢の繰り返しで、筋肉のアンバランスが進みます。
産後に弱くなる部分👶
- 骨盤底筋群:骨盤を下から支える大事な筋肉。緩みやすい。
- 体幹(特に腹横筋・多裂筋):姿勢保持や腰痛予防に必須。
- 股関節まわり・臀部筋群:骨盤の安定性や脚ラインに直結。
これらが弱まると、尿漏れ・腰痛・肩こり・ぽっこりお腹・体型戻りにくさなどが起こります。
産後に鍛えるべき部位
骨盤底筋群:締める・引き上げる感覚を呼吸と合わせて回復
腹横筋:体幹のコルセット。腰痛改善とお腹の安定に直結
多裂筋:背骨の安定に関わり、反り腰や腰痛防止に重要
臀部筋群(特に中殿筋・大殿筋):歩行や骨盤の横揺れを防ぐ
肩甲帯・胸郭まわり:授乳姿勢で硬くなった胸郭を開き、呼吸を楽にする
① 骨盤底筋エクササイズ(ブリッジ応用)
仰向けで膝を立て、息を吐きながらお尻を軽く持ち上げる。
骨盤底筋を「下から内側に引き上げる」意識を持つ。

② ドローイン呼吸
仰向けで鼻から吸い、口から吐きながらお腹をぺたんこに。
腹横筋と骨盤底筋が連動して働く。

③ キャット&カウ
四つ這いで息を吐きながら背中を丸め、吸いながら反らす。
授乳姿勢で固まった胸郭を解放。

④ クラムシェル
横向きで膝を曲げ、足をつけたまま上の膝を開く。
中殿筋を使い、骨盤の横揺れ防止&ヒップライン改善。

⑤ マーメイドストレッチ
座位で体を横に倒す。
胸郭を広げ、呼吸が深まりやすくなる。

産後の体を整えるための考え方
産後に大切なのは「がんばって鍛えること」よりも、まずは体を回復させることです。
妊娠・出産で骨盤や筋肉が弱くなった状態で強い運動をすると、不調を悪化させることもあります。
そこで意識したいのは、次の3つのステップです。
- 呼吸と骨盤底筋の回復
- 体幹の安定を取り戻す
- 姿勢と動作の質を改善する
この流れを踏むことで、自然と体型や体調も戻りやすくなります。
産後の体は、骨盤底筋・体幹・股関節まわりが弱くなりやすい状態。
呼吸と連動させながら少しずつ回復させることが大切です。
無理をせず、段階を踏みながら回復していくことで、体型だけでなく心身の安定にもつながります。
「整えてから鍛える」 これが産後の体づくりのキーワードです。